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コーチングにおける「聴く」技術

優れたコミュニケーターといえば、話し方が上手で、言葉を巧みに操り、雄弁に文章を書く人を思い浮かべるでしょうか。長年にわたって指導者やコーチを教え、コーチングし、養成してきた結果、私は最も効果的なコミュニケーターは最高の聴き手であることを発見しました。傾聴は必要不可欠なスキルであり、個人的にも仕事上でも人間関係の質を大きく向上させるコミュニケーションの基本です。残念ながら、傾聴は過小評価され、十分に活用されていないことが多いのです。

コーチとして、私たちの役割の最も難しい部分であり、トレーニングを始めたときに振り払うのが最も難しい習慣は、クライアントの話を聞いて解決策を提供することを控えることです。クライアントに内在する創造性、臨機応変さ、全体性を認識しながら、知識や問題解決者としての立場から、クライアントに完全に寄り添い、関わる立場へとシフトする必要があります。エゴを封印し、クライアントに完全に集中するには、努力と鍛錬が必要です。

より効果的に傾聴するためには、コーチング・プレゼンスを培う必要があります。これには、コーチがクライアントのニーズ、目標、信念、感情に完全に注意を払いながら、クライアントが話を聞いてもらい、見てもらい、理解されていると感じられるような、安全で協力的な環境を作ることが必要です。そのためには、タスクに焦点を当てたアプローチから人に焦点を当てたアプローチへと考え方を転換することが必要であり、そのためには、偏見を持たない態度、感情への気づき、個々のクライアントのニーズに合わせたコーチング方法の柔軟性、コーチングを受ける中でクライアントがさまざまな困難に直面したときの共感と思いやりが求められます。

以下に、あなたのコーチング・プレゼンスを高め、傾聴スキルを向上させるためのヒントをいくつか紹介しましょう:

1) コーチングはクライアントのためにあることを忘れない

クライアントのニーズとゴールに集中し、セッションを自分自身のことや自分の意見にしないことです。クライアントの力になりたいという真摯な思いが、自然とクライアントの願望や目標、そして彼らが自分自身や周りの世界をどのように見ているかを知りたいと思わせ、興味を持たせます。これが、本物のプレゼンスと傾聴につながるのです。人の幸福を心から願うということは、その人が今いる場所に喜んで寄り添うということです。その場にいることを忘れず、相手が自分で答えを見つけ、解決策にたどり着けることを信じましょう。

2) 沈黙を心地よく受け入れる

クライアントが黙っているときは、たいてい考え事や反省をしているのです。これは多くの場合、気づきやマインドシフトにつながります。沈黙が苦手だから、あるいは相手をどこかに誘導したいからという理由で、この空間を埋め尽くしたいという衝動に駆られてはいけません。あなたが邪魔をすると、相手が「なるほど」の瞬間に達する機会を奪ってしまいます。沈黙の間は、クライアントと完全につながっていましょう。あなたの存在と沈黙は、すぐに答えを出さなければならないというプレッシャーを感じることなく、相手が考え内省するための安全な空間を提供します。彼らが心の中で物事を整理するのを辛抱強く待って下さい。それが彼らに突破口を開かせるきっかけとなるかもしれません。

3) 分析と考えすぎをやめる

考えすぎたり、クライアントの状況を分析したりすると、クライアントの話を聴くのではなく、自分自身の考えに耳を傾けることになるため、あなたのプレゼンスが薄れてしまいます。そして、解決策を考えているときは、自分が考えていることを共有したいので、話を中断する可能性が高くなります。言語と非言語の両方の合図を理解するために、五感をフルに活用して、話を遮らずに聴く努力を意識的にしてください。そうすれば、相手の声のトーンや表情の変化から、感情の変化に気づくことができます。深く傾聴することで、相手の思考パターン、願望、信念、価値観、思い込み、恐れなどを理解することができ、それらを振り返ることで気づきと探求を深めることができます。このことが、しばしば悟りにつながるのです。これは、あなたが本当にその場にいながら、相手の心配事に対する解決策を考えたり試みたりしていないときにのみできることです。

4) 自分のバイアスを認識する

コーチングに影響を与える可能性のある偏見や意見を持っていることを認めましょう。それは、あなた自身の生い立ち、宗教的・政治的信条、学歴、特定の概念に触れた経験、その他さまざまな要因に基づく可能性があります。自分のバイアスが、どのように傾聴を選択的にしてしまったり、質問を暗示的、誘導的にしてしまったりするかに注意してください。例えば、あなたは長時間労働を楽しんでいる人を指導しているのですが、それに対して偏見を持っているとします。クライアントのワークライフバランスが良くないと結論づけ、クライアントの悩みとは関係ないかもしれないのに、「休暇はどれくらいの頻度で取りますか」などと質問してしまうかもしれません。自分自身が偏った意見を持っていることに気づいたら、それを管理し、自分の価値観を押し付けたり、相手の生き方に影響を与えたりすることは、コーチとしての責任ではないことを自分に言い聞かせましょう。クライアントの願望、目標、ニーズ、ウォンツ、そして彼らが自分の中で解決したいことに集中します。クライアントが自分自身の経験の専門家であり、あなたの役割は、クライアントが自分にとって大切なことに基づいて意識的に選択し、決断するのを助けることであることを認識してください。

5) コーチングの前に自分自身をクリアにする

あなた自身がうわの空のときに、どうやってクライアントを明瞭にさせることができるでしょうか?コーチングをする前に、自分の感情や精神状態をベストな状態に整え、全身全霊で臨むことができるようにしましょう。深呼吸をする、基礎や中心に戻る、誰かと話す、散歩する、ストレッチするなど、自分の心を圧迫している荷物を解放するのに役立つアクティビティを行って、気持ちをスッキリさせるテクニックを練習しましょう。もし本領を発揮できないと感じたら、そのまま進めることはクライアントに不利益をもたらすかもしれないので、コーチング・セッションを延期してください。

最終的には、あなたのコーチング・プレゼンスを高め、効果的な聴き手になりたいという願望は、クライアントの成長と幸福に対するあなたの愛情と純粋な関心によってもたらされるべきものなのです。

著者:ジュリアス・オルドネス(ACTC、MCC)

ジュリアス・オルドネス(ACTC, MCC)は、組織開発、リーダーシップ開発、チーム開発、エグゼクティブ・コーチング、経営コンサルティング、経営管理、メンタリングにおいて20年以上の経験を誇るベンチマーク・コンサルティングの社長であり、創設者です。フィリピン初のICFマスター認定コーチであり、世界で初めてチームコーチングのICF上級認定を受けた一人でもあるジュリアスは、その卓越した専門性を証明してきました。アジア太平洋コーチ連盟の会長を務め、ICFフィリピン支部を設立。ジュリアスは、対面式およびバーチャル・プログラムを通じて、世界中の多国籍・多文化組織のシニア・リーダーシップ・チームと協力し、彼らが重要な目標を達成し、潜在能力を最大限に発揮できるよう支援してきました。ジュリアスについてもっと知りたければ、LinkedIn ( https://www.linkedin.com/in/julius-ordonez/ ) にて。

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Originally written in English by Julius Ordoñez, ACTC, MCC
Coaching World, July 13 2023, The Art of Listening in Coaching

https://coachingfederation.org/blog/the-art-of-listening-in-coaching

翻訳:高山 博

Disclaimer: This article was approved by ICF for translation and was translated by a Japanese translator hired by ICF Japan Chapter. The original article of this translation was written in English for ICF Coaching World. Please note that ICF and ICF Japan Chapter do not take any responsibility for any potential errors or mistakes in the translation. For clarity of the content, please refer to the original version on the ICF website at https://coachingfederation.org/blog

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