傾聴をマスターするための4つのメタファーと意図的な練習方法
数ヶ月前まで、黙っていることは私にとってまだ難しいものでした。マスターコーチの品質のひとつに、「呼び起こすような」沈黙があります。クライアントとの会話に空白を作り、クライアントが新しい理解でそれを埋めるような一種の間、です。私はそれができませんでした。
マスターコーチへの道のりでは、傾聴力を習得しなくてはいけないとわかっていました。メンターコーチ、ある特定の練習方法、そして多くのピアコーチングの助けを借りて、私はスピーカーからマイクにシフトし、マイクから紙、紙から木、そしてさらにWaze(カーナビゲーションアプリ)に進化することができました。
初めに、黙ることを学びました。
次に、聞くこと。
次に、聴くこと。
そして、クライアントのためになるように聴くこと。
以下は、そのプロセスで役に立った練習方法のリストです。
1. 黙る を学ぶ
マイクのように黙りなさい。マイクは、何も期待していません。そこに存在して、周囲の音を待つだけです。受け取った音はワイヤーやスピーカーの中に消え、それまでに受け取った全ての音も失います。
口を開く前に5秒待ったり、頭に浮かんだ質問の3つ目を口に出したり、丸1日のシレンツィオ・スタンパ(丸1日の沈黙)のような、沈黙を学ぶための確かな練習方法があります。しかし、私はさらなるものを望んでいました。自分のアドバイスモンスター(バンゲイ・スタニア著書より)を完全に黙らせ、どんなクライアントの前でも知的に謙虚でいられることを習得したかったのです。
私が最初に取り組んだ練習の一つは、自分のコーチングセッションの録画を見て、自分が話しすぎているという事実に気づくことでした。メンターは、私が一度にいくつかの質問をしたり、長くて理解しにくい質問をするのを指摘してくれました。複数の録画を見て、いかに私の思考で考えていたか、いかに自分の存在が浅かったかを認識したのです。
クライアントと私の話す割合を計算すると、私が50%、クライアントが50%だとわかりました。それの過程はまるで、クライアントと自分自身をコーチングしていたようでした。
2. 聞く を学ぶ
紙のように聞きなさい。紙は、あなたの言葉を待っています。あなたが好きなように書けば、言葉は目の前に現れ、修正したり、消したり、そのまま書いておいたりもできます。
2つめの練習は、言われている以上のことを聞くことができるようにしてくれました。数週間、私は”ヒアリングビーコン”なるものを設定して、コーチングセッション中に、ピッチ、音量、イントネーション、アクセント、フレーズの長さ、リズム、メロディ、私の呼吸、クライアントの呼吸、言葉のパターン、キーワードなどを聞こうとしていました。私の頭の中は、飛び交う言葉やそれらが縦横に並んでいるものや、フラクタル行列のようだったり配列のようであったり、違う幻覚のような形だったりと混沌としていました。
3. 聴く を学ぶ
木のように聴きなさい。木は、根や枝、葉、樹液、果実から、聴きます。風、太陽、土の湿り、小枝で休む鳥たちや、取り巻く自然のリズムを聴いています。木は、この惑星の明白な律動にも、それほど明白でもない律動にもつながっています。
3つ目の練習は、主に在り方です。私はクライアントと協働して作る空間と繋がるために、コーチングセッションの前に短い瞑想の時間をとりました。この時私は“マインドルフルネスベル”というアプリを使い、コーチングセッション中にランダムに10〜20回、優しくベルが鳴るようにセットして、その瞬間に私の在り方全体のトリガーとなるようにしました。これはとても効果的で、今現在の様子から前より多くのことをキャッチできるようになりました。私の意識が、縦方向に深まり、横方向に成長したかのようでした。私は、相手が感じていることを感じ、クライアント“を”見て、同時にクライアントを”ありのままに”見ることができるようになりました。
4. 意図的に聴く を学ぶ
Wazeのように聴きなさい。Waseがどのような働きをするか知っているでしょうか。あなたは目的地を設定します。アプリは時間効率が良く、コスト効果の高いルートを見つけます;それは、状況に応じた出来事や、そのほかの情報をすべてリアルタイムで考慮して。そして、あなたにフィードバックします。目的地がを変えることも可能で、それに応じてルートの再調整もします。
自分のリスニングスキルが向上していくのを確認しながらも、私は時々、進むべき道や、クライアントが設定した我々の到着地、それが長期的なものだったりセッションごとのものだったりを見失うこともありました。
この時点では、書き起こしがとても役に立ちました。物語の流れを最初から最後までたどることで、私の質問や介入、対話の間、ため息、“あぁ”という声が会話をどのように形作っているのかがわかりました。これによって、私が曲がりそびれたところや、穴の上を歩いたり、道路標識にぶつかったり、目的もなく聞いたりしているところを理解することができました。
結論
意図的に傾聴し、気付きを創出する達人になるには、もっと多くのステップが必要です。ですが私は、自分の創造性を頼りに、私の役にたつ意図的な練習を生み出しています。人の話を聴くのは、長い旅のようなものです。私が他の人と異なり、いつも進化しているように、どの人間も異なっています。この進化のプロセスにおいて私が一歩一歩進むたび、新しい理解の枠組みが生まれるのです。