適度なストレスは正常であり、プラスの効果もあります。しかし、ストレスレベルが高まると、ネガティブな感情によって思考が曇り、判断を誤りがちになります。
多くの研究が、ストレスはリスクへのアプローチに影響することを示しています。そのリスクは投資やビジネス戦略と強く結びついています。リーダーが自覚を欠き、ストレスを適切に管理していないために、戦略的な判断を誤ることは最も避けたいことです。
しかし、ストレスがリーダーの意思決定プロセスを支配してしまうのを防ぐには、どうすればいいのでしょうか?
ストレスの多い時に冷静さを保つには、自己認識から始めましょう
自己認識がキーとなります。自分の性格タイプがリスクテイクに対する自然なアプローチにどのような影響を与えるか、また何が自分にとってストレスになるかを知っていれば、自分を抑制して、後悔するような決断を避けることがより良くできます。
マイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標 [Myers-Briggs Type Indicator® (MBTI®)]・アセスメントに基づき、性格の嗜好がリスク耐性にどのような影響を与えるかを見てみましょう。MBTIの性格タイプは、私たちが次のようなタイプであるかどうかを識別します:
- 人や物の外側の世界に注意を向ける(外向性)か、思考や感情の内側の世界に注意を向ける(内向性)か。
- 経験や五感の証拠に基づく情報を信頼し利用する(感覚)か、または未来や物事がどのようにつながって全体像が見えてくるかを考える(直感)か。
- 決定を下すのに、客観的な論理(思考)に基づくか、または価値観や決定が人々にどのような影響を与えるか(感情)に基づくか。
- より構造化され、組織化された方法で生きるか(判断)、より柔軟で自発的な方法で生きるか(知覚)。
性格タイプがリスク耐性とリスク回避に与える影響
ある研究では、リスク耐性の高い投資家は思考を好む傾向が強く、一方、感情を好む投資家はリスク回避的であることがわかりました。
さらに別の研究では、内向性、感覚、感情、判断を好む人は、よりリスク回避的であることがわかりました。
研究チームはまた、E-I(外向性-内向性)とT-F(思考-感情)の間の交互作用効果も発見しました。外向性を好む人のうち、感情を好む人は、思考を好む人よりもリスク回避的でした。言い換えれば、ESFP、ESFJ、ENFP、ENFJタイプを好むリーダーは、ESTP、ENTP、ESTJ、ENTJを好むリーダーよりもリスク回避的である可能性が高かったのです。
ストレスレベルが上昇するに従い、私たちは生まれつきの性格嗜好を使いすぎてしまう傾向があります。
リスクテイカーになりやすい人は、ストレス下ではより大きなリスクを冒すかもしれないし、生まれつきリスク回避型の人はその逆かもしれません。
この傾向を認識することで、リーダーは、事業の一部を清算したり、部門を再編成したり、レイオフを実施したりすること(それらはバーシンやカシオを含む多くの研究が、ポジティブな結果よりもネガティブな結果をもたらすことを示している最も取りたくない手段です。)などの極端な戦略的選択の際に、自分自身をチェックすることができるのです。
ストレス要因と対処メカニズムを理解しましょう
ストレス下での自然なリスク耐性やリスク回避を理解することに加え、性格タイプを理解することは、ストレスになるものを簡単に特定することで、ストレスを上手にコントロールするのに役立ちます。
MBTIの16の性格タイプのうち4つのタイプについて、典型的なストレス要因を挙げてみましょう。(タイプ別ストレス要因の完全なリストについては、こちらのインフォグラフィックをご覧ください):
- ISFJ: 決められたルールや規則を無視する、準備に十分な時間がない。
- INTP: 社交、騒音、その他の妨害、厳格なガイドラインに従うこと。
- ENFP: 創造性を犠牲にした組織、マイクロマネジメント、過剰なコミットメント。
- ESTJ: 既成のルールを無視する、非効率、管理不足、絶え間ない変化。
ストレスを無視しないで: 必要な変化を起こしましょう
あなたは2組の明確に分かれたグループに気づくことでしょう。構造化された日常生活の喪失によってストレスを感じている人と、構造化されすぎてストレスを感じている人です。
リーダーシップやエグゼクティブポジションにおいて、このどちらかが現実のものとなり得ることは容易に想像がつきます。
これまで経験がないのに、突然、在宅勤務やリモートワーク、ハイブリッドワークの環境でチームを管理することになったリーダーは、日常生活が不愉快に中断され、これまで築いてきた構造がなくなりつつあることに気づくかもしれません。
一方、あまり構造化されていない職場環境を好み、突然リモートワークに切り替えたリーダーは、会社が説明責任の名の下に、より多くの報告や確認を求めていることに気づくかもしれません。そして会社はリーダーに、自身が管理する従業員に対しても同じように説明責任を追求することを求めるのです。
いずれにせよ、健全な経営に必要なリスク耐性とリスク回避のバランスを取るために最も重要である、明晰な思考への道は、自問自答から始まります:
- 何が私にストレスを与えるのでしょうか?
- このストレスレベルの上昇は、リスク回避やリスク耐性に対する私の自然な傾向にどのような影響を与えるのでしょうか? ―私はより攻撃的な決断をしがちなのでしょうか、それともより攻撃的でない決断をしがちなのでしょうか?
- 私の生活の中でストレスを引き起こしている要素のうち、私がコントロールできるものはどれでしょうか?それらを和らげることができるものはどれでしょうか?