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インテルが実践する、変革のカタリストとしてのコーチング

インテルは、高度に知的でハイパーコネクテッド化が進む社会において、人材と従業員の継続的な成長がビジネスの成功に不可欠であると考えています。

インテルは、最先端の半導体を設計・製造する業界のリーダーであり、すべての人々の生活を豊かにする、世界を変えるようなテクノロジーを創出するグローバル企業です。またインテルは、データの可能性を引き出すため信頼と実績あるリーダーを目指すとともに、社会的な影響と責任の基準であるよう努めています。

こうした背景の下でインテルは、従業員のエンゲージメントを高め、ポテンシャルの高いマネジャーやリーダーの才能を開発するカタリスト(触媒)となるコーチングプログラムを実施しました。2022年度「ICF International Prism Award」を受賞したこのプログラムは、インテルの企業文化にコーチングエコシステムを根付かせるという成果を上げています。

このコーチングプログラムの素晴らしさは、実施後に測定した成果にも示されています。「インテルの取り組みが他と違うのは、実施中のプログラムを継続して評価し、ビジネスに結びつけていくことを強調してきた点です。それが会社にとって非常に良い結果につながりました」と、エグゼクティブリーダーシップコーチであり、インテルの社内コーチングチームでリーダーシップフィットネスコーチングのプロダクトオーナーを務めるデビッド・レーン氏は語ります。

コーチングでリーダーの変革を促す

インテルのコーチングプログラムは、社内の小規模な取り組みとして15年前に始まりました。インテルのリーダーシップは、効果的なコーチングは従業員にとってのメリットとなるだけでなく、ビジネスにとっても高い価値を生み出すことを理解していました。その後、このプログラムは、全社規模の取り組みにまで成長し、2021年には、1,100人の従業員がコーチングを直接受けました。コーチングセッションの主な対象となるのは、社内で大規模なグループを管理するシニアリーダーです。セッションを受けたシニアリーダーは、学んだコーチングスキルを使って直属の部下にコーチングを行い、プログラムを拡大する役割を担いました。これにより、約1万1,000人の従業員が間接的にコーチングプログラムの恩恵を受け、プログラム全体の効果は10倍に拡大しました。

インテルのプログラムでは、従業員のエンゲージメント向上や人材開発、リーダーシップスタイルの変革などを目的として、主に高いポテンシャルを持つマネジャーやリーダーをコーチングの対象としています。プログラムは、組織全体がコーチングを取り入れることと、投資収益率(ROI)を最大化することを目指し、以下の3つの戦略を設定しています。

  • コーチングを受ける:マネジャーやリーダーは、社内外の認定コーチからさまざまなタイプのコーチングを受けることができます。
  • コーチングの技術を学ぶ:コーチングの受け手や従業員は、トレーニング受講や認定取得などを通じてコーチングの技術を学びます。これにより、コーチングを受けるだけでなく、提供できるようになります。
  • インフラとガバナンス:最先端のシステムとデータドリブンな設計により、コーチングプログラムを企業レベルで管理します。

グローバル展開するテック企業のリーダーであるインテルは、ファシリテーション型リーダーシップのロールモデルとなるようリーダーの能力向上を支援することにより、常に進化し続ける業界において変革を推進するリーダーを育成しています。また、女性リーダーを対象とするリーダーシップアカデミーや、子育て中の従業員の職場復帰プログラムなど、カスタマイズしたコーチング型ソリューションを導入し、この取り組みを後押ししています。インテルは、女性や少数派のグループに属する従業員のキャリア開発に投資する必要性を認識し、こうしたグループに属するシニアリーダーの数を倍増させるという意欲的な事業目標を掲げています。そして、インテルのコーチングプログラムがその目標達成を積極的に支援し、疎外されたグループに属することを自認する従業員が、コーチングを優先的に受けられるようにしています。

コーチングの成果を測定する

インテルのコーチングプログラムは、従業員の取り組みの度合いや、ビジネス全体への測定可能な影響度などの指標から成果を測定します。具体的には、コーチングを受けた従業員を対象に実施したアンケートや定着率分析、職場のエクスペリエンスに関する従業員調査、マネジャーに寄せられたフィードバックなど、さまざまな情報やデータに基づいて測定しています。

インテルは、チーム全体の行動変化などのプログラムが生み出した価値を定量化するために、収益の増加や離職コスト削減などの追跡調査を実施してきました。その結果、コーチングプログラムへの投資効果は、営業利益で年間約10億米ドルに上ることが分かっています。

インテルは、最高の結果を生み出すには、従業員や技術的な専門知識の向上に投資することの重要性を認識しています。達成された重要な指標の1つは、今日の競争が激化する労働市場において、今回のコーチングプログラムを含むインテルの企業文化のイニシアチブが、人材を惹きつけ、定着させることに成功していることです。インテルの社内データによると、リーダーの昇進率は2.7倍となり、コーチングの受け手がビジネス目標を達成したかどうかを示すスコアは91%となりました。さらに、プログラム参加者の91%が、リーダーシップスキルを向上するために必要なツールや技術が得られたと回答しています。

インテルでは、満足度を測る指標としてNPS(ネットプロモータースコア)を採用しています。コーチングプログラムの平均NPSは、世界最高水準を示す80を常に超え、リーダーシップフィットネスコーチングなどインテルのフラッグシッププログラムは、87のスコアを獲得しています。

コーチングプログラムに関するフィードバックは、従業員がこのプログラムを全般に非常に有益であると感じていることを示しています。フィードバックには、生き方やキャリア、人間関係、ビジネスユニットのリーダーとしての職務への向き合い方に対して、このプログラムが与えた影響についての従業員の声が含まれています。コーチングプログラムの内容は、こうしたフィードバックをもとに修正しています。シニアリーダーは、財務から製造部門にいたるまで、すべてのビジネスユニットにおける変革の推進や、コーチングがもたらす影響を実感しています。

インテルが実践するプログラムには独自性があり、コーチングのプログラムやソリューションの開発や継続的な改善に、データやエビデンスが活用されています。このことは、インテルが、人材への投資と企業文化の形成を同時進行で行っていることを指しています。

コーチング文化を浸透させることによるインテルの最大の成功は、社内の変革が加速したことだと言えるでしょう。インテルはこのプログラムにより、チームが能力を発揮し、期待を上回る水準で厳しい目標を達成する環境を提供できるようになりました。また、より解放された環境が実現されたことにより、傾聴力が強化され、疑問を持つことで影響を及ぼすことができるようになりました。インテルは、ここまでの大きな成果が、今後のさらに素晴らしい成功へとつながっていることを確信しています。

このコーチングプログラムは高く評価され、インテルは2022年度の「ICF International Prism Award」を受賞した唯一の受賞企業となりました。Prism Awardは、厳格な専門基準を満たすコーチングプログラムを実施して、主要な戦略目標の達成や組織文化の形成に貢献したり、測定可能な前向きな影響を及ぼしている企業や団体を表彰するものです。

自社で変革的なコーチング文化づくりを推進するためのヒントとなる、インテルのコーチングプログラムの詳細はこちらでご覧ください。また、ICF Coaching in Organizationsチームは、コーチング文化の構築や維持を希望する組織のために、幅広いリソースを提供しています。

著者:ステファニー・ノリス

ステファニー・ノリスは2011年から国際コーチング連盟の運営に携わっており、2021年にICFのアワードディレクターに就任しました。この職務における取り組みとして、最近、組織全体の連携を高めることを目的として、全世界のアワードシステムの再構築を実施しました。初回のICF Coaching Impact Awardsは、すでに大きな反響を呼んでいます。ノリスは、コーチングが世界に与えるポジティブな影響を強力に推進し、あらゆる集団に属する人々をまとめ、コーチングの素晴らしさを称えています。英語、スペイン語、ポルトガル語に堪能であるほか、フランス語での会話も可能。システムアナリストで文学の修士号を取得。ワールドカップ優勝国でもある、アルゼンチンのブエノスアイレス在住。

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Originally written in English by Stephanie Norris
Coaching World, March 14, 2023, Coaching as a Catalyst for Change at Intel

https://coachingfederation.org/blog/coaching-as-a-catalyst

翻訳:田中 チズ

Disclaimer: This article was approved by ICF for translation and was translated by a Japanese translator hired by ICF Japan Chapter. The original article of this translation was written in English for ICF Coaching World. Please note that ICF and ICF Japan Chapter do not take any responsibility for any potential errors or mistakes in the translation. For clarity of the content, please refer to the original version on the ICF website at https://coachingfederation.org/blog

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