コーチの心の状態は、コーチとクライアントの会話に影響を与えることがあります。そのため、コーチは自分の心の状態をいかに簡単にコントロールするか学ぶ必要があります。

幸福度が高ければ高いほど、関わり合いや創造性、社会的支援、充足感が高まります。したがって、コーチは自身の幸福度を高めることに取り組むことによって、コーチングセッションにおいて、より深く関わり、創造的になり、存在感を示すことができるようになります。その結果、コーチはクライアントの潜在能力を引き出す支援ができるようになるのです。

感情は伝わりやすいので、コーチの幸福感はクライアントの幸福度にも影響を与えます。ここでは、コーチが自分の幸福度を迅速かつ効率的に高めるために使える10の秘訣を紹介します。

1. 過去の幸せな瞬間の写真を見る

過去に経験した旅行や冒険、学校や大学時代の写真を見ると、瞬時にその人の気分が変わることがあります。子供の写真を見れば、コーチの精神状態にも即座に影響を与えることができます。ですから、自分の部屋の中やコンピューター画面上に写真を数枚置いておき、コーチングセッションの前にこれらの写真を見ることで、コーチの幸福度を高めることができるのです。

2. あなたの成功を手助けしてくれた人々を目に浮かべて感謝する

あなたが人生で成功を収めるのを助けてくれた、あるいはあなたの業績に貢献してくれた2～3人の人に感謝しましょう。よりインパクトのあるものにするために、それらの思い出を頭の中に思い浮かべて、成功や達成の時に抱いた感情に触れましょう。

3. ２分間、感謝日記を書く

ポジティブ心理学者は、感謝の気持ちを表すことと幸福度の向上との関係を強調しています。数多くの研究により、感謝日記を書くことと幸福感には密接な関係があることが分かっています。たった2分間、感謝日記を書くだけでもあなたの幸福感にとても良い影響を与えることでしょう。

4. 最近自分に起こった最も美しい出来事を思い出す

最近自分に起こった最も美しい出来事を思い出すことで、前向きで幸せな気持ちが強まるかもしれません。目を閉じて、最近自分に起こった美しい出来事を思い出すだけで、簡単に実行できます。速やかに心を前向きの感情で満たし、コーチの幸福感のレベルを向上させることができるのです。

5. 誰かを助ける、または誰かを助ける計画を立てる

ポジティブ心理学では、助けを差し伸べる行動が、助ける人の幸福度に影響を与えるということを強く述べられています。誰かを助けたり、誰かを助けるための簡単な計画を立てたりすることで、コーチの幸福度を即座に向上させることができます。他の人を助けるという意図を持つだけでも、ポジティブな感情を高めることができるのです。

6. 家族または友人と短い会話をする

家族や友人との短い会話は、心を幸せな感情で満たしてくれます。会話は、お互いにとって好ましい、気分を高揚させるような話題で構いません。

7. 社会貢献をするために自分が持っている貴重な才能を感じる

自分には世界をより良い場にする貴重な才能があると認めることは、非常に充実した経験です。私たちは皆、社会に貢献するための才能を持っているか、あるいはその才能を見つけることでしょう。コーチングそのものが、コーチが社会に貢献するために使う素晴らしい能力です。そのような才能を考え、感じることで、幸福の社会的次元を高めることができるのです。

8. 自分を伸ばしてくれたり、フロー状態に導いてくれたりした活動を思い出す

ポジティブ心理学者のミハイ・チクセントミハイによると、人生で最高の瞬間は、受け身で受容的でリラックスした時間ではありません。むしろ、何か困難で価値のあることを成し遂げようとする自発的な努力によって、身体や心が限界まで引き伸ばされたときに、最高の瞬間が訪れるのが普通なのです。自分の限界を超え、フロー状態になった活動を思い出すことで、その活動に没入した時のような感情が生まれるかもしれません。このように、その活動を思い出すことが、幸福度を高める可能性があります。

9. 世界がより良い場所になる理由をリストアップする

幸福の研究者であるコリー・キーズによると、社会的実現は社会的幸福の一側面であるとのことです。彼によると、社会がポジティブに進化している、ポジティブに成長する可能性があると人々が信じるとき、幸福度が上がる可能性があるそうです。したがって、2、3分考えて、世界をより良い場所にすると信じる理由をリストアップするだけで、幸福の社会的実現という側面が高まるでしょう。

10. 自己の多面性を認め、受け入れる

幸福の研究者であるキャロル・D・ライフによると、自己受容は心理的幸福の重要な要素であるといいます。個人個人が良いところも悪いところも含めて、自己の多面性を認め、受け入れることができれば、その個人の幸福度が高まるのです。同様の見解は、パーソナリティ心理学者のカール・ロジャースも共有しています。したがって、自分の性格の多面性に気づき、それを受け入れることで、幸福度の向上へと繋がって、コーチの適合度が高まるのです。