今の様な前例のない時代には、不安になったり、打ちのめされてしまうのは無理のないことです。このような状況では、自分自身に対しても、ましてやクライアントに対しても、自分自身に完全に寄り添うことは非常に困難です。しかし、いくつかの簡単なマインドフルネスを実践すれば、実現は可能です。
私たちが頭でっかちになって、あらゆるネガティブで有害な思考と完全に同一化していると、感情もまたネガティブな影響を受けてしまいます。私たちは、苦しみのスパイラルやループに陥ってしまうのです。このパターンを断ち切るには、自分自身と自分の思考との間にスペース(隙間)を作る必要があります。このスペースが、私たちが「今ここに在ること」こと、つまり、精神的・肉体的な自分自身を完全に認識する機会を与えてくれるのです。
脳科学は、心と体の統合によって私たちの幸福度が向上することを示しています。そして、このプロセスは「今、ここにいること」から始まります。あなたの身体は絶えず脳とコミュニケーションをとり、その状態を知らせるシグナルを送っています。ストレスの多い思考をしていると、胸が締め付けられるような感覚や、イライラに気づくかもしれません。このような身体的な合図に気づくことに慣れれば、その合図に従って行動し、身体が必要としているものを与えることができるようになります。
マインドフルネスは、これらのシグナルにもっと触れ、自分自身で在ることを助けるための実践的な技術を提供してくれます。それによって、将来についてストレスを感じたり、過去について落ち込んだりし始めたときに、「今、ここ」に戻ることを思い出すことができます。
私たちは皆一人ひとり、ストレスに対する認識や耐性が異なりますが、シンプルでパワフルなツールを使うことで、レジリエンスを高めることができます。日頃から慣れ親しんだ習慣を持つことで、困難な状況に陥ったときでも自動的に、すぐに平静でバランスのとれた状態に戻ることができるのです。
さあ、実践してみましょう
グランデッド・ボディースキャン(3分間)
迷ったとき、この練習をすれば、考えすぎのループを断ち切ることができます。過去(うつ)や未来(不安)へ多くの有害なタイムトラベルをすることができるあなたの心とは異なり、あなたの体は、純粋に今この瞬間に存在しています。ですから、自分の体を「アンカー(船の錨)」として使うことで、頭の中でさ迷っていても、「今、ここ」に自分を連れ戻すことができるのです。
身体の感覚とつながることで、私たちは再び「今」に戻り、自分自身に気づき、一旦止まってリセットすることができるようになります。そうすることで、私たちはよりバランスのとれた状態に戻り、そこから何が起こっても対処できるようになるのです。
手順
まず、立ちます(できれば靴を履かずに)。
足が地面についていることに気がつきます。
この感覚を、あなたはどの程度知っていますか?
自分の足の感覚に(痛みなどがなくても)気づくことはありますか? それはどのくらい?
地面の支えを感じながら、足首からゆっくり上へと、意識を上げていきます。
体の中をゆっくりと頭の上まで(意識を)上げていきます。
体の感覚に注意を払いながら、進んでください。
あなたが1日の中で、このテクニックを使える場面
・コーチングの前に
・お湯が沸くのを待つ間に
・食事の後に
・起きる前に、夜寝る前に
この明確な手法を1日の中に組み込むことで、不安に打ちのめされそうな思考や感情を断ち切る方法をあなたの心に教えることができます。練習すればするほど、この方法は身近なものになり、ストレスがかかったときに使うことで、それを和らげることができるようになります。
新しい視点を得て、思考をリフレッシュするのは、打ちのめされそうな時の有効な解毒剤になります。しかし、まずは自分自身と向き合うことが必要です。
打ちのめされた感覚は、私たちが自分の思考と過剰に同一化し、ストレスを感じ、不安になるときに、私たちの心の中で起こることを覚えておいてください。身体を意識することはマインドフルネスの柱の一つであり、身体への接続は不安感に囚われた状態から今この瞬間に戻るための最短ルートです。頭から離れ、身体に入って、自分自身と今を感じ、それによってクライアントも感じましょう。コーチングでの対話は、この状態からこそ始めたいものです。