多くの方は、コーチングにおけるGROWモデルについてご存知のことでしょう。しかし私の経験から、コーチングプロセスを扱う際、特に比較的新しいコーチの場合、完全なプロセスを行うためにはさらに多くのステップが必要であることを発見しました。T-COACHモデルは、ICFコアコンピテンシーに沿っている、より完成度の高いモデルです。その手順を紹介します。
T – trust(信頼)
パートナーシップを構築する最も重要な要素の1つが、信頼です。クライアントの可能性やスキル、クライアントの存在全体に信頼を示すコーチは、それと引き換えに信頼を得ることでしょう。この信頼を構築するには、次のように始めます。
- 敬意を示す – 身だしなみを整え、時間を厳守し、声のトーンに注意を払うなど、全てにおいてクライアントに敬意を示す準備をしてください。
- 誠実さを示す – コーチングとは何かをクライアントに説明し、すべての会話が安全で守秘義務に守られていることを保証してください。
信頼を築くことは、次のステップへの準備であり、クライアントの緊張や居心地の悪さ、恐れなどの感情を軽くする効果につながり、ポジティブな雰囲気を作り出すでしょう。
C – Clarify(明確にする)
クライアントが多くの問題や目標を抱えていて、コーチがどれが本当の問題で目標なのかを理解するのが難しいことが多々あります。このような時は、次のような方法でクリアにしましょう。
- クライアントがその状況や目標を明確に理解できるように支援します。この段階では、ツールとしてパワフルクエスチョンを使います。
- コーチとクライアントの双方がテーマを理解していることを確認します。あえてクローズドクエスチョンを使って再確認するコーチもいます。
O – Objective(目的)
多くのコーチはGROWモデルのgoalステップをよく知っていることでしょう。私の見解では、O-ステップはこのステップに似ていますが、特にコーチングに慣れていないクライアントにとっては、よりクライアントフレンドリーです。クライアントはまず、コーチングセッションの価値を目の当たりにし、協力する意思を持つことが必要なのです。O-ステップのチェック項目は、次のとおりです。
- 合意を得ます。ここでは、コーチが契約を明確にし、互いの理解を確認します。
- SMARTゴールを設定します。SMARTは、Specific(具体的)Measurable(測定可能) Attainable(達成可能)Realistic(現実的)Timely(タイムリー)の頭文字です。目標設定では、これを使って、クライアントが自分の目的を具体的で達成可能かつ測定可能にまとめることをサポートします。
- チェックイン。コーチは、セッションの最後に、クライアントが何を得て何を得なかったかを確認します。
A – Analysis and Actual(分析と実際)
この段階では、コーチはコーチングスキルを使って、クライアントが状況を明確にとらえることを支援します。
- クライアントに、状況を説明してもらいましょう。これにより、状況を分析し、把握することができます。
- 思考をとめない:「何が今クライアントにとって一番重要でインパクトがあるのだろう?」これは、クライアントが感情やコメント、思考に影響されることなく、状況の“実際の”現実を確認することの支援となります。
C – Communication – listening, asking, storytelling and reflection コミュニケーション(傾聴、質問、ストーリーテリングとリフレクション)
コミュニケーションは全てのコーチングセッションにおいて、重要なスキルです。
キーは、アクティブリスニングとパワフルクエスチョンです。コーチは、ストーリーテリングとリフレクションを使い、クライアントが視点を探ったり広げたりシフトしたりと、探究することを支援します。
- アクティブリスニング。コーチは、クライアントを理解するために、言葉によるコミュニケーションと非言語によるコミュニケーションの両方を聴き取ります。そして洞察へと誘うキーワードや、クライアントが見落としているかもしれない角度のブラインドスポットを探します。また、ボティランゲージも観察することで、メッセージを伝えることもできます。
- パワフルクエスチョン。これは、クライアントの気づきや思考に役立つ質問です。パワフルクエスチョンは、ポジティブな感情や視野を拡大し、選択肢を広げるものです。コーチは重要と思われるキーワードを取り上げ、定義をクライアントに問いかけます。質問は短く簡潔にし、一つの質問にたくさんのメッセージをこめないようにします。ただし、クローズドクエスチョンは避けましょう。的確な質問を用いることで、クライアントのチャレンジへの好奇心を示すことができます。
- ストーリーテリング。コーチはクライアントに彼らのストーリーをシェアしてもらえるよう伝えます。その後、コーチはストーリーの側面や欠けているピースについて問いかけます。また、追加の文脈のために、コーチは自分のストーリーのシェアの許可を求めても良いでしょう。しかし、あなたがそれをすると選択したなら、自分のコメントや意見を入れないように注意し、クライアントの意見を問うことを忘れないでください。
- リフレクション。これは、クライアントが言ったことの言い換えとも言えます。そうすることで、クライアントが自分の考えを改めて聴くことができ、さらなるシェアのための余白を作ることができます。そこでは、クライアントがメッセージを理解するのに役立つように、感覚や感情を反映することも大切です。
H – Have and How to (ハブとハウツー)
クライアントが自己認識を深め、状況をより理解できた後に、クライアント自身が解決策を持っていると発見することがよくあります。しかし、コーチは引き続き次のようにクライアントをサポートします:
- haveクエスチョンを使ってクライアントの識別をサポート:
どのようなリソースやスキルを持っていますか?
どのような選択肢がありますか? - howクエスチョンに答えるクライアントとパートナー関係でいる
どのようにして正しい選択肢を選びますか?
どのようにして目的を達成しますか?
どうすれば自信を持って行動を起こせますか?
T-COACHモデルを実践することで、コーチはコーチングプロセスに留まることができ、クライアントに確実に結果を提供します。