好奇心を育てることができる、もしくは生まれ持っていると信じると、VUCAの世界の複雑な課題に対処し、解決していく個人の能力に影響を与える可能性が生まれます。また今日の問題では、効果的な解決策を生み出すために、異なる分野から引き出していく必要があります。 Yale-NUSカレッジの新しい研究によると、”好奇心の成長マインドセット”-好奇心を育て、育成することができるという信念-を持っているとすると、好奇心の領域をその外に見える領域に結びつけ、革新的なアイディアを生み出す可能性が高くなります。
Yale-NUSカレッジの心理学の主任研究員であり准教授でもあるPaul A. O’Keefe(ポール・A・オキーフ)は、スマートフォンがどのように設計されるのかを例にあげて、この概念を説明しました。
「有能でユーザーに響く製品を作るには、コンピュータサイエンスや工学的知識だけではなく、心理学やビジュアルデザインを理解する必要があります。」
この研究は、組織と個人、双方に影響を与えます。
「組織が成長マインドセットを持つ人を採用したり、被雇用者間で成長マインドセットの促進があったりすると、彼らは複数の知識分野にまたがったより良いソリューションを達成する革新的なアイディアを考え出す可能性が高くなります。」
オキーフの考えを念頭に置き、組織は、好奇心は育てることができるという考えを促進する環境を作るべきです。また、被雇用者に探究や成長の機会を提供する必要もあります。
コーチング文化を作ること、被雇用者にコーチングを提供することは、成長マインドセットをサポートするだけではなく、新しい概念やアイディアの探究をもサポートする2つの効果的な方法です。
この考え方により、個人は知識の分野を広げる機会を求める必要があります。自動化や人工知能、COVID-19パンデミックが続き、失業率が増加し続ける中、分野をまたぐことのできる人は、従来の一分野のアプローチを持つ人よりも組織にとって魅力的な雇用と資産となることに間違いありません。オキーフはエンジニアを例にあげ、エンジニアだとすると、技術面の役割だけに拘っていても良いし、マーケティングに興味を持つことも、エンジニアリング会社のセールスチームに参加してスキルを磨くことも可能だとしています。
では、より革新的になろうとしているクライアントや組織をサポートするために、コーチは何ができるでしょう?
個人コーチングの際には、クライアントの専門分野以外の知識の拡大が、クライアントが取り組もうとしている課題にどのように影響するのかを探ることができます。そして、クライアントが知識の分野拡大をすると決めたなら、それをサポートしましょう。
もしあなたが組織でコーチをしているなら、あなたもしくは組織が、被雇用者の持つ好奇心の先の領域での知識や成長のサポートをすることを考えることもありえます。
その時あなたは、彼らが新しい学びを仕事につなげるためにどのようなサポートができるでしょうか?
最も重要なのは、自分の好奇心を広げていくことに興味を示している人をサポートすることです。
「好奇心は育てることができると理解することが最初のステップです」とオキーフは述べています。「この考え方を発展させ、強化するには、時間と後押しする環境が必要です。最終的には、それは既存の考え方に囚われない、ゲームチェンジ的なイノベーションを引き起こすかもしれないのです。」