クライアントに洞察を呼び起こすことは、コーチングのプロセスにおいての本質的なところです。人が自分自身や状況についての深い直感的な理解を得る時や、問題解決の明快さに繋がる時に洞察が起きます。
ジョン・デューイ(心理学者・哲学者・教育改革者)は、個人的な学びにおけるリフレクションの創始者と考えられています。デューイは「私たちは経験からは学べない。経験からの思考によって学ぶ。」と言います。
リフレクションの機会を提供することは、クライアントの目標達成に向けての洞察や学びのために賢明であり、重要なことです。
もし、ジョシュ(大企業のリージョナルマネージャー)が昨年行った部下との中間チェックインについて熟考する機会を持たなかったとしたら、彼は、今年の中間レビューで、より効果的かつ効率的に部下を率いてゴールに到達するというところに持っていけないかもしれません。もし彼が、何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのか、どんな価値観が不協和を生み出しているのかや、先延ばしがよくある彼の行動だということをわかっていないなら、洞察力を強化しそびれてしまうでしょう。
では、クライアントによりよいリフレクションをもたらす3つの方法です。
1)継続的なチェックイン
コーチング前に次のようなことを含めた質問をしましょう
- コーチングを通して、何を達成したり変えたり、挑戦したりしたいですか?
- 何が邪魔になっていますか?
- どこから始めたいですか?
- コーチングが完了する時、その成功をどのように知ることができますか?
学びや結果の促進において、契約の期間中にも反映できるようにこのフォームを使いましょう。クライアントがどのようなところから始め、今何を感じているのでしょう?進捗を記録し、本来の道のりのままいきたいか、コースを変更するかを熟考できるようにします。
このツールは、クライアントの最終目標へ向かって配慮深く進めると同時に、クライアントとコーチとの関係性の協同的な構築に役立ちます。
1セッションでの進捗状況についてリフレクションと洞察を得るためには、「このセッションを始めた時と比べると、今はどのようなところにいますか?」と尋ねてみます。
好奇心を持ってチェックインし続け、クライアントが洞察を関連付けたり繋がりや統合を考えたりするための時間とスペースをとりましょう。
2) スケールを用いる
もしマネージャーのジョシュが部下と難しい中間期の会話を持つ時に、「1から10で示すとして、この会話の進め方にどのくらい満足していますか?」と尋ねたとして、6という答えなら、8だと思う会話とどのようなギャップがあるかを尋ね、記録します。
もし答えが5なら、何がこのあいまいな状況を作っているのかをリフレクションしてみましょう。実のところ、4、6、どちらの方向を向いていると感じての5でしょうか?
数値化する質問は、リフレクションにおいて数値が固有の何かを表すため、クライアントに明確さをもたらします。クライアントのリフレクションは、何が機能していて何が機能していないのか、また、何が望ましい結果に向かう様々な可能性への思考を生み出すのかを学ぶことに繋がります。
3) エビデンスの区別
デューイは、リフレクションにおける彼の発見で、エビデンスに基づくビリーフとそうではないビリーフを区別することを唱えました。
「それはどのくらい真なのか?」という探究は、ビリーフのエビデンスを熟考する機会をもたらします。
クライアントのビリーフは行動や感情を促進するので、真のビリーフか制限的ビリーフかのリフレクションを促すコーチは、より大きな洞察やより大きな変革をクライアントにもたらします。
- どんな物語を話していますか?(何が真なのか?)
- どんなルールを守らなくてはならないのですか?(各々、どう真なのか?)
- 経験から示されているものは何ですか?(何がどう真なのか?)
パワフルクエスチョンをしたり特定のツールを使ってクライアントが自分の経験を振り返ることができるようにしたりすることで、クライアントは、前に進むための道を選択する時の気づきや学びの機会が増えます。
あなたは、クライアントのリフレクションについて、ほかにどんな方法をとっていますか?
考察:コーチとしての個人的な学びとして、何が最近のあなたのコーチングの効果を高めましたか?