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【CoachingWorld】[Ethics Q & A] Setting Boundaries 「境界線を引く」

 ICFでは年に4回、コーチングワールド(CW)という情報誌をオンラインとpdfで発行しています。オンライン版であれば、会員でなくとも、誰でも自由に閲覧することができます。

ICF日本支部では、翻訳ボランティア会員の協力を得て、このコーチングワールドの記事をピックアップして日本語に翻訳し、日本の皆様に世界のコーチング状況をお伝えして参ります。これは将来的には会員専用コンテンツになる予定です。こうした活動を御支援いただくために、是非、御入会を御検討ください。

今回は、2014年2月号から、遠山幸子氏に翻訳いただきました「[Ethics Q & A] Setting Boundaries 境界線を引く」の記事を御紹介します。「Ethics」とは、ICFの定めるコーチの倫理規定のこと。今回は「境界線を引く」ということについて、ICF独立審査委員会役員のジェーンM.フォークナーが回答します。


CoachingWorld ISSUE9 February 2014
Setting Boundaries 境界線を引く
Coaching to Your Client’s Learning Style
Setting Boundaries 境界線を引く

質問:

 私は大企業の外部コーチとして働いています。そこでは、組織のマネージャーであるデーブのコーチを任されています。会社の人事部がコーチング業務のスポンサーです。

 デーブとの初めての打ち合わせで、デーブのマネージャーであるスーは、デーブの現在のポジションが元々空席だったとき、デーブではなく、デーブの直属の部下であるバーブを昇格させたいと思っていたということがわかりました。その結果、デーブはバーブを管理する能力を疑われているように感じて、このすべての状況に落ち込んでいると話してくれました。

 デーブとの最初の打ち合わせのあとは、スーが私を呼び出し、デーブの管理能力と管理スタイルについて、バーブから苦情を受けたと言ってきました。そして、スーは私に、次の業績評価に反映させるためにデーブに関する情報を共有させてくれるように頼んできました。組織と、コーチング業務のスポンサーである部署の両方の要求に応えながら、どうしたら倫理的に適切にこの状況を切り抜けられるでしょうか。

回答:

 スーの要求していることは、スーの管理責任とあなたのコーチング業務の境目を曖昧にするものです。幸いなことに、スーの質問にどう適切に対処するかについて、ICF倫理規定が明確なガイドラインを定めています。

 ICF倫理規定の第15号は、クライアントやスポンサーと明確な合意を得ておくことをコーチに求めています。一方で、第22号と23号は、クライアントとの守秘義務を厳格に守ることや、コーチとクライアントとスポンサーの間でどのように情報をやり取りするかについて明確に合意を得ておくことをコーチに義務付けています。このことは、コーチは社内の誰に対して回答・報告するのかについて、人事部と明確に合意しておく必要があることを示しています。もし人事部との合意で、デーブのコーチングが秘密事項だと規定されているのであれば、スーにきっぱりとノーの返事をし、もし質問があるなら人事部に行くように促せばいいのです。

 もしスーの求めていることについての合意がないのであれば、どんな情報が守秘義務に違反せず共有可能で、どのように求めたり送ったりすればいいのかについて、誰にでもわかるよう、人事部と協力して文書を修正することをご検討ください。恐らく膨大なテーマが特定せずに共有可能になっているでしょう?デーブがコーチングのプロセスに真剣に取り組んでいるか否かを、あなたからの毎月の請求明細書で知らせる、と取り決めるのも手です。もし要求や回答がすべて人事部を経由すれば、スーがあなたに直接近づいてきた場合の曖昧な境界線に代わる、明確な境界線が出来ると思います。

 デーブには、コーチングの進捗状況をスーに伝えるように促すのもいいでしょう。もう一歩進んで、特にバーブを管理するという面でスーがデーブに何を期待しているのか、スーがデーブをどのようにサポートできるのかを明らかにするために、スーと3人での打ち合わせにあなたが参加してデーブがサポートを受けられるようにすることを申し出てもいいでしょう。この場合、コーチングの合意には、デーブには進捗をマネージャーに報告する選択肢があること、そしてコーチング業務の最初と半ばと最後に、デーブとあなたとスーの三者面談の機会を設けることを選ぶ選択肢があることを明記すべきです。

 最後に、デーブの落ち込み方が深刻で、治療を要するようなものであれば、会社の従業員援助プログラムや、セラピストを見つけるべく人事部に行くことをお勧めしてください。(もしデーブが、セラピー通いを人事部に知られたくないと思っている場合は、あなたの照会リストに載っているセラピストのところに行くよう促してもいいでしょう。)もしあなたが自分で照会する場合は、少なくとも3人の名前をあげたリストを提供した上、そのうちの誰のことも特に支持していないことを書面で明らかにしておくことを、慣行としてお勧めしておきます。

※名前はすべて変更しています

著者:ジェーンM.フォークナー(プロフェッショナル認定コーチ)

 シアトルを拠点に活動している著名なコーチであり、大人気のリーダーシップコンサルタント。多種多様なクライアントが、試練を、自身の強みやリーダーシップ能力へと変容させるのを手助けする。リーダーシップ能力のコーチ、管理職を指導するコーチとして、リーダーシップ能力開発、チーム形成、コミュニケーション、コンフリクト・マネージメント(対立を受け入れて問題解決を図ろうとする考え方)の分野で、専門家、新生リーダー、管理職、経営者と連携。ICF独立審査委員会役員。CPCC(米国CTI認定資格であるCertified Professional Co-active Coach)。詳細はwww.janefaulkner.netへ。

Originally written in English by Jane M. Faulkner.
Coaching World, Issue 9, February 2014, p.14

http://icfcoachingworld.com

翻訳:ICF日本支部 フレンズ 遠山幸子 氏

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