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【CoachingWorld】Case Study: The Top of the Class「最高のクラス」

ICFでは年に4回、コーチングワールド(CW)という情報誌をオンラインとpdfで発行しています。
オンライン版であれば、会員でなくとも、誰でも自由に閲覧することができます。

ICF日本支部では、翻訳ボランティア会員の協力を得て、このコーチングワールドの記事をピックアップして日本語に翻訳し、日本の皆様に世界のコーチング状況をお伝えして参ります。これは将来的には会員専用コンテンツになる予定です。こうした活動を御支援いただくために、是非、御入会を御検討ください。

今回は、2013年11月号から、福田美智江氏に翻訳いただきました「Case Study: The Top of the Class 最高のクラス」の記事を御紹介します。ICF国際プリズムアワードは、世界各国のICFメンバーによって選ばれる栄誉ある賞です。2013年に受賞したのは、トルコの学校、イシケント校。今や全世界的に教育は将来の国の在り方を決めると課題になっていますが、このトルコの学校が起こしたコーチングによる学校改革とは?


CoachingWorld ISSUE8 November 2013
Case Study: The Top of the Class「最高のクラス」

Case Study: The Top of the Class
最高を祝す

 イシケント校(トルコ)は2013年ICF国際プリズムアワードを受賞しました。ICFはディフェンス・アクジシォン大学(米)にも名誉ある賞を与えました。

 ICFトロントが開発したコンセプトであるプリズムアワードを、ICFグローバルは2005年に採用しました。それはビジネスでも組織にでも、プロフェッショナル・コーチングがいかに様々な分野で効果をあげているのかを認めるものです。この賞は、各規模の組織や各部門において、どのようなプロフェッショナル・コーチングが遂行されているかを示す縮図になっています。

 今年、ノミネートされた23のプログラムは、世界各国のICFメンバーの判断により、4つの基準で選ばれました。4つの基準とは、プロとしての厳格な水準を満たしており、重要な戦略目標を示しており、組織の文化を整えていて、そして、認識可能で測定可能な良い影響を与えているというものです。

 国際プリズムアワードについての詳細は Coachfederation.org/prism. をご覧ください。

ケーススタディ:最高のクラス

 1990年代以来、コーチングは学校発展計画の構成要素のカギになっています。学校管理者の成長と発展をサポートするためにリーダーシップコーチやエグゼクティブコーチと契約を交わすことに加えて、先生達のカリキュラムを遂行する技術を上げるために、クラス運営を管理するために、生徒や保護者あるいは先生同士でのコミュニケーションを効果的にとるためにコーチングとコーチングスキルトレーニングを採用している学校の数は、増え続けています。教育コーチング(Educational Coaching)の研究の主要部分では、コーチングによって先生が新しい教育実践と方法を理解し実施する能力向上ができ、結果として、生徒との高い関係性を作りだすことを示しています。

 トルコのイシケント(Isikkent)校はコーチングを更に深いステップで使用しています。先生と学校管理者から保護者と生徒に至る学校コミュニティメンバーの生活に直接関わる高い影響のあるプログラムの開発と実践を行っています。イシケント校のコーチングプログラムの成功は、コーチングが大人だけに効果があるのではなく、適切に調整すれば、3歳の幼児にでも有益であると証明しています。

最先端の教育コーチング

 イシケント校に関係している学校管理者、先生、生徒と保護者は、一般の人々より目立っている、学びのコミュニティの一員であることにいつも誇りを持っています。
 非営利団体として1998年に創立し、イシケント校は幼稚園生から高校生までの幅広い生徒が一つのキャンパスにおいて学ぶ、独特な環境を提供しています。トルコでは珍しい組織のモデルです。

 その学校は教育ヴィジョンにおいても際立っています。トルコのほとんどの生徒は、学びの到達と成果を試験の点数で測定することを教えられている一方、イシケント校では全体論教育に焦点をおいています。
 クリエイティブな研究を基本としたティーチング、高い水準の国際市民活動と倫理観あるスピーチや行動へのかかわりによって、イシケント校では、自己理解があってやる気の高い若い人と、思慮深くて生涯学習に情熱をそそぐ大人になるように努力を重ねています。

 生徒を成長させるサービスの革新に意欲的なイシケント校のリーダーたちが、早い段階からトルコのコーチング運動に参加していたこと、驚くべきことではありません。早い段階とは、ICF認定トレーニングカリキュラムがまだ英語からトルコ語に翻訳されていない時で、初のトルコ語でのコーチングトレーニングプログラムの開発と責任を担ったコーチたちと協働し始めた時のことです。

Case Study: The Top of the Class
イシケント校の教師およびサポートスタッフはすべて、数時間のコーチ専門トレーニングを完了しました。学校のコーチング文化を理解し支援するために

成功を導く土台

 イシケント校は、学校管理者への完全なサポートと共に、コーチングに時間とお金という意味ある投資を行い、学校の専門職開発予算の24%を先生のコーチングのトレーニングに割り当てました。2009年に学校がコーチングを手段として取り入れて以来、40名以上の先生が自費で進んでICFのACTP(Accredited Coach Training Program)を受けました。学校のコーチング文化をより理解しサポートするため、イシケント校の先生とサポートスタッフは全員数時間のコーチトレーニングを受けています。そしてコーチトレーニングはイシケント校の新任先生へのオリエンテーションに取り入れられています。教職員は生徒、保護者、同僚と交流する時にコーチングスキルを使うことを奨励されています。

 この学校での最初のコーチングトレーニングクラスを修了した先生コーチ(coach-teachers)で構成されているイシケント校のコーチング委員会は、プログラムのための設備の開発を手伝いました。
 更に、ICF倫理規定を順応させた学校文化の礎を構築するため、委員会メンバーは普段使っているコーチングの質問を様々な年齢に合うように見直しました。
 先生コーチはイシケント校のIT部門と協働して、彼らがコーチングセッション記録を保存できて、100%機密性がある、電子コーチングログを開発しました。そして、彼らはイシケント校の生徒、先生と保護者に対してコーチングを提供するために率先して開発を行い、同時に、当初からそれは前向きになるための(治療のためではない)ものであると保証しました。
 結果、イシケント校の先生コーチがサービス提供を始めた時、学校コミュニティ全体にその意味が浸透していました。

Case Study: The Top of the Class
コーチングスキルはイシケント校の最も若い層にも適用されます。3歳や4歳の生徒たちに

新しいアプローチの扉をあける

 イシケント校のコミュニティでは、それを望む人には、誰でもコーチングを手に入れることができます。そのプログラムはイシケント校のガイダンスサービスと連携しており、保護者の許可により、生徒は先生コーチとセッションのスケジュールを組むことができます。コーチング契約中のテーマは、ゴールセッティング、将来設計、対人関係のコミュニケーションとトラブル課題解決を含みます。

 先生コーチは基本的にボランティアでイシケント校の先生と保護者をコーチします。そして保護者は学校が用意した「効果的な保護者トレーニングコース」にてコーチングスキルを学ぶ機会があります。

 イシケント校のコーチング文化は、興味、広い心や情熱といった国際バカロレアの学習者像(IB Learner Profile)の特徴と結びつけられることにより、その学校の達成したいゴールである国際バカロレア認定により近づくことを可能にしました。

 イシケント学校が公開しているビデオではこのような特徴が表れています。ビデオでは、先生がコーチ的関わりでサポートをしていて、若い生徒のグループが、どうして耳にホラ貝の貝殻をあてると音が聞こえるのかを探るために、話し合いをしています。

 学校のリーダーたちは、コーチングスキルがイシケント校の一番若年層つまり学校の早期学習センター(ELC)受講中の3~4歳の生徒にも適用できることを発見しました。
授業中に先生の許可なくクラスを出ていってしまうあるELC生徒の話を、イシケント校プリズムアワードのインタビュー中に学校職員が話してくれました。

 効果的な質問を含めたコーチトレーニングで身に付けたスキルを使って、その先生はその行動の原因を探り当てることができ(単に起きている必要があることを忘れていたと生徒が語りました)、その行動によって先生がどんな気持ちになるかを伝えることができ(「あなたがクラスを出て行って私があなたをみつけられないと悲しくて怖くなってしまうよ」)、そして生徒の問題解決に結びつくサポートを与えました(思い出させるため、ドアの横で悲しい姿の先生の絵を生徒が描き、それをクラスのドアにつりさげました)。

数字による証明

 学校のコーチングへの投資の元は取れたとイシケント校のリーダーたちは言います。コーチングを受けた生徒は、トラブル課題解決、ゴールセッティングと達成、仲間とのコミュニケーションと協働への能力向上を報告しました。コーチングを探索した先生はその経験について、同じようなポジティブなフィードバックをしました。フィードバックの内容は、生徒と保護者とのよりよいコミュニケーションとゴールセッティング能力の向上でした。

 一方、「効果的な保護者トレーニング」でコーチングスキルを学んだ保護者は、そのプログラムの結果、彼らの子どもに対してのニーズをより明確にでき、約束によって子どもとの対立事項を解決する意識ができて、更に、お互いの関係性を守る目を持ちながら対立事項に近づくことができた(vs「私が好きなように問題を解決する」)と報告しました。

 コーチングがイシケント校に取り入れられて以来、イシケント校の中学校と高校では規律上の問題が激しく減少しました。2008~2009年度に中学校では生徒人口の約16%に規律を違反する行為が報告されました。 高校では生徒人口の26.5%が規律を違反する行為があったと高校関係者が報告しました。2012~2013年度近くになりますと、これらの数字の平均がそれぞれ2.08%と4.74%に減少しました。コーチングは生徒が自分の将来のゴールを達成する事を強化し、2013年度のイシケント校卒業生の94.1%が自分の志望大学のトップ5の内の1校に入学し、70.6%の卒業生が第1志望に合格しました。

 先生と学校管理者だけではなく、広く学校コミュニティに役立つようなコーチングプログラムをとりいれたイシケント校の成功の結果、今やこのプログラムは、高い影響力があって、長く持続可能な標準のプログラムとして、トルコの様々な組織において、独自のプログラムを作る際のベンチマークとなっています。

著者:Coachfederation.org/prism.

Originally written in English by coachfederation.org/prism.
Coaching World, Issue 8, November 2013, pp.18-21

http://icfcoachingworld.com

翻訳:MCA 達成&成功コーチング代表 福田 美智江 氏

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