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【CoachingWorld】目隠しを外そう:バーバラ博士へのインタビュー

ICFでは年に4回、コーチングワールド(CW)という情報誌をオンラインとpdfで発行しています。
オンライン版であれば、会員でなくとも、誰でも自由に閲覧することができます。

ICF日本支部では、翻訳ボランティア会員の協力を得て、このコーチングワールドの記事をピックアップして日本語に翻訳し、日本の皆様に世界のコーチング状況をお伝えして参ります。これは将来的には会員専用コンテンツになる予定です。こうした活動を御支援いただくために、是非、御入会を御検討ください。

初回の記事は、大森隆氏に翻訳いただきました「馬コーチング」の記事を御紹介します。今や世界中に広がっているという、馬を活用したコーチングとは?

2014年、まさに「午年」にふさわしい記事ではないでしょうか!


CoachingWorld ISSUE8 November 2013
目隠しを外そう:バーバラ博士へのインタビュー

個人や夫婦、組織への豊富なコーチング経験や、ICF本部の元代表であり認定マスターコーチとしての経歴を持ってしても、バーバラ・ウォルトン博士は信頼できる仲間の助けを得る必要があった。 バーバラのパートナー達(彼らはプロのコーチであり、体重が450キログラム程もあり、ニンジンやリンゴ、ペパーミントキャンディーが大好きです!)は次回のICFイベントには姿を現すことはなさそうだ。しかし彼らは、KTDコーチングが提供する「ホースコーチング(Equine-assisted Coaching = 馬の支援を得たコーチング)」の中で、まさに「馬車ウマ」として、自己認識、コミュニケーション、チームワークといったクライアント達の能力を高める重要な牽引役を果たすであろう。

我々はバーバラに、「ホースコーチング」について、そして、クライアントが自ら目隠しを取り去って自分自身をより深く認識する助けとなるような、馬たちの独特な能力について話を伺いたいと申し入れた。

■コーチングワールド(以下、CW):
「ホースコーチング」とは何ですか?またそれはどのような効果があるのですか?

バーバラ・ウォルトン(以下、BW): 私たちは皆様に一連の訓練を通じて、馬の扱いに馴れて貰うところから、障害物のあるコースを乗りこなすところまでを何度も練習して頂くのですが、彼らが乗っている馬は徐々にまるでコーチの役目を果たすようになっていきます。馬たちは人が表情に出していない、まだ誰にも明かしていないようなことも感じ、フィードバックをすることもできるのです。馬たちはとても敏感で、こちらがまだ話してもいないことすら感じ取り、コーチングをまったく新しいレベルに発展させていきます。この訓練は、 参加者たちがどのように自分を取り繕ってみせていても、自分自身がどういう状態で、どうするつもりか、どうなることを望んでいるのか、といったことについて違うレベルの気づきや対話を与えているのです。

■CW: どのような経緯で「ホースコーチング」に興味を持ち始めたのですか?

BW: 若い頃、自分で馬を飼っていたんです。それで思い出したのです。その頃、馬たちと一緒にいることに喜びや自由を感じていたことを。そして大人になって改めて馬たちと一緒にいると、リーダーとして、また一人の人間として自分の一番良い状態は何かということを明らかにしてくれることに気づいて、馬たちが私のクライアントにもそういう感動的な経験をさせてくれるだろうと思い付いたんです。馬に近づきたくない、触りたくもないなんて人は招いた人の中にはいませんでした。

クライアントたちは馬と一緒に何かをすることを期待して私を訪ねて来るのではありません。馬に乗ることをそれ以上のものに昇華させて、馬と接することができるのは大抵、VIPレベルの方たちです。 以前に私のコーチングを受けたことのあるクライアントです。 私を信頼して様々なことを打ち明けてくれるクライアントと同じくらい、それは私にとって最高に素晴らしいことなのです。クライアントを自分の環境に招き入れ、馬をコーチングに取り入れたことは、自然な成り行きだったのです。

■CW: 「ホースコーチング」で、クライアントはどのように学びを深めていくのでしょうか?

BW: 馬は心で思っていることと人に見せる振る舞いを変えるような表裏がないのです。でも、私たち人間は自分の考えていることを相手に悟られないように振る舞ったり、まるで仮面を被るように表情を取り繕ったりします。馬ならそんなことはしません。人間の仮面の裏に隠されていることや言葉にされていないことを馬は本当に感じていて、私が気づかないであろうことや、そのクライアントが他人にみせたことがないと思われる人間の何かを馬は気づいているようです。恐れという感情もすぐに明かされる事柄のひとつです。コミュニケーションを取るときに不安を感じていても、多くの人がそれをとても上手に隠そうとすることがあります。ひどく怯えるほどの不安でなければの話ですけど、これはちょっととした不安であり、ある人が対人関係を克服しながら生きる術を知っているかどうかというような捉えようのないニュアンスなのです。 意義深い感動的な体験は我々に色々なことを教えてくれますが、馬が多くの大人に対してそれをすることに私は気づいたのです。開かれた心であろうと、開かれた知性だろうと、機会が開かれます。クライアントは馬と一緒にいるという経験から何か新しい事を学ぶことができます。彼らは彼ら自身について学び、私は彼らについて学びます。そしてクライアントが常に秘密を打ち明ける訳ではないけれど、馬からその方法を学んでいます。いずれにせよ、その対話は全く新しい方向に進んでいくことになるのです。

■CW: グループコーチングでは馬をどのように使うのでしょうか?

BW: 通常、チームビルディングは同じ方法で始めます。誰がどのように馬たちとコミュニケーションをとるのか、どう接していくのかを参加者たちにフィードバックを与えながら馬と波長を合わせる訓練をします。課題を達成させるためにいくつかの小グループを作って作業をさせることもあります。グルーミングをさせたり、馬を囲いの周りを回らせたり、障害物コースを回ったり。普段とは違う協働作業であるため、課題を達成するために他者に合わせる能力が必要となります。その訓練では、彼らが楽しんでいる姿をあなた方は観ることになるでしょう。彼らが訓練を終えて、経験を振り返るまでは学びが深まりません。3週間から6週間が経った頃、ある参加者が電話を掛けてきたんです。「馬たちと訓練してから、私の話し方やクライアントとの関係がどれだけ変わったか、あなたには想像も出来ないでしょうね!」って。

いつもと違った雰囲気や環境、不慣れな課題に取り組ませるような機会を与えれば、どんな機会でも連帯感を生み出したりやチームビルディングを成功させます。それは自然豊かな野外での出来事だからです。馬の周りにいるのではなく、木や草の周りにいるのです。人々が本当に自分の最高をさらけ出したくなるような牧場にいるからなのです。馬たちにとって一番良い環境、つまり牧場のような広い自然の中での生活を与えれば、馬たちは我々の最高を与えてくれます。

■CW: 馬はチームに何を教えるのですか?

BW: 馬は群れをなす動物です。なので、互いに協調し合ったり、誰に指示されることなくいつの間にかある馬がリーダーになっているという光景を観られます。別のところから連れてきた馬であろうとなんだろうと、そんなことは関係なく群れを作ります。誰かがリーダーとなり、課題を共有し、責任を分かち合うのです。そして、互いに協力し合います。 参加者は他の参加者や馬たちの動きに注意を傾け、別の参加者が何かをしたときに馬たちがどのような反応を示すかを観察することができる訳ですから、我々は参加者にそのことを伝え、馬たちの反応によって参加者が得た事柄の中から彼ら自身に関する部分を指摘するのです。これはダイナミックな学習体験だと思います。

■CW: ホースコーチングを受けた後、クライアントにはどのような影響がありますか?

BW: これは私がとても気に入っている話なのですが、ある日、クライアントが戻ってきてこう言ったのです。「家の中の雰囲気が変わったのです。それまで私は自分が家族のことを深く理解していて、彼らに深い思いやりを持って接していると思い込んでいたのですが、そうでなかったということが理解できたのです。それに気が付いて、自分はようやく家族の一員になれるのだと思いましたよ!」と言ってくれたのです。この方は本当の自分を取り戻した感覚だったのでしょうね。

人間同士が関わり合いを持つとき、心と精神、そして体がより重要なものになるのです。よく思春期の子供を持つ親御さんが来て、いかに話を聞くか、どのように導くか、そして彼らをコントロールすることなんてできないということを理解しているかどうかで、まったく違う結果になるのだという話をします。彼らもまた、それを馬から学んだのです。言葉で言い聞かせようとしてもダメだし、何も言わず期待を寄せるだけでもダメ。一緒に動いて、一緒に何かを創り出そうという姿勢をみせなければならないのです。

クライアントはホースコーチングが自分を目覚めさせてくれたと思っています。結婚生活がうまくいっているのか、子供たちとの関係は良好なのか、さらには、改善されたり、成功により近づいているといったことや、もっとうまくやれる、結果を出す自信ある能力があるという気持ちについてのような会話が不意に交わされてしまうほど、このコーチングを信頼してくれているのです。本当のことをいえば、そのような会話になるとは私自身も思っていなかったのですけどね。

著者:バーバラ・ウォルトン博士、プロフェッショナル認定コーチ(MCC)

リレーションシップ・コーチであり、執筆活動も行う。2004年にICF本部の代表を務めた。アメリカ合衆国 ミズーリ州 リーズ・サミットにある30,600坪の土地に拠点を置き、クライアントを招いて馬との触れあいを持たせる。動物たちが人間に、気づきや在り方、そして癒しや成功をもたらす無条件の愛の大切さを思い出させてくれるというのが彼女の信念。彼女のホームページ(英語)は KansasCityCoach.com でみられます。

Originally written in English by Dr. Barbara Walton.
Coaching World, Issue 8, November 2013, pp.30-32


http://icfcoachingworld.com

翻訳:翻訳 株式会社SPECCHIO 大森 隆 氏

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