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コーチ人生のためにメンターコーチングを

自分自身がそこにある最高のコーチングツールだと考えてみてください。ツールであれば、オイルを塗り、形を整え、修理をして、良いコンディションを保つように手入れをするでしょう。では、あなた自身が鈍くなったりさびついたりしないようにするには、どうしますか?

私の経験では、シャープさを保つ確実な方法は、どのようなものが良いのかを知っている人からコーチング能力に関わる的確なフィードバックを受けることです。それがメンターコンチングです。スーパービジョンの3つの機能 (Hawkins and Smith, 2013)を考えるとメンタリングもスーパービジョンの一つの形だと思うかもしれませんが、スーパービジョンとは全く異なります。

スーパービジョンは自己申告であり、コーチはセッションルームで何が起きたかについて話します。メンターコーチング は、ライブか録音でまさにその場で何が起きていたかをみるので、何かが隠れてしまうことも不注意による見過ごしもありません。私はこれについては論議するつもりはなく、どちらも重要だと思います。メンターコーチングは私たちをシャープに保ち、スーパービジョンは私たちを安全かつ正常に保ちます。

現在、ICFは、認定を受ける前にメンターコーチと協力する必要のある唯一のコーチング機関です。ICFはセッションルームで私たちがどう存在しているかについて本当に注意を払っている、という意味を持ちます。コーチングは自分たちを研ぎ澄ます練習と密接に関わる実用的専門分野といえます。

「エッジは私たち自身を伸ばし、最大の能力となるところです。自身のコンフォートゾーンや習慣的行動を広げ、絶壁のぎりぎりに立つ、そこがエッジです。クライアントへの挑戦ではなく、自分自身に挑戦しましょう。メンターコーチングはエッジ、つまり確かなベストへと導きます。」(Mentor Coaching: A Practical Guide)

メンターコーチングは、資格のためだけではないことがわかるでしょう。それは、プロフェッションレベルを問わず、すべてのコーチの生涯にわたる専門能力開発のためのものです。


メンターコーチングは、”意識するとできること”を定期的に認識することです(Broadwell, 1969)。それを熟達といえるレベルに”意識しなくてもできる”を目指すことかもしれません。でも、熟達してもう学ぶものがないと思ってしまったら、私たちはもう見えない点(ブラインドスポット)や、聞こえない点(デフスポット)、沈黙しているスポット(ダムスポット)に着目しないことになります(Eckstein, 1969)。意識せずとも使えている能力から、意識すると使える能力へ、またさらに下の段階まで梯子を降り、”自覚していないからまだできない”未開発の能力のところまでたどり着きましょう。

ブライドスポットとは、自分では見えないもの、または、見ないと選択するもののことです。デフスポットとは、自分やクライアントの声の聞こえていないものです。ダムスポットとは、課題や直感やチャレンジ、クライアントからの直接のフィードバックではっきりと共有していないものです。ある研究(Bachkirova,2015)によると、コーチは、一人で振り返っている時に自分自身を誤魔化していると言っています。私たちは、ブラインドスポットは見えるように、デフスポットは聞こえるように、ダムスポットには気がつくように、プラクティショナーと協働する必要があります。

クライアントからのフィードバックは十分に受け止めましょう。彼らは、一見見通しのたたない問題を解決したのか、彼らの人生がよりよくなったと感じたのか、本当の自分が誰なのか知ることができてきたのか、と判断しています。それはすべて有意義なフィードバックです。そしてそれは、エッジにいたかという意味ではありません。単に、こうみえた、こう聞こえた、ということを観察の伝達は、エッジをさらにシャープにするフィードバックになるでしょう。

また、あなたのコーチングの録音を一緒に聞き、能力を一緒に評価していく1対1のメンターコーチングを選ぶと良いかもしれません。

グループメンターコーチングを選択するなら、グループのメンバーが順番にコーチになり、メンターコーチと一緒にオブザーバーとなります。全員が自分の番ではないときにもほかの人のコーチングから学ぶことができます。

また、2つの組み合わせも可能です。ICF資格認定のためには、10時間のうち3時間は1対1である必要があります。繰り返しになりますが、メンターコーチングは単なる資格取得のためではなく、一生のものです。年に3〜4時間のメンターコーチングに投資し、コーチを続けていくことを提案します。

あなたはこのための費用のことを考えるでしょう。当然のことです。しかし、こう考えてみてください。自己啓発に投資しないでコーチングに投資するものに期待が持てますか?加えて、ある研究(Olivero et al, 1997)によると、行動の変化が20パーセントしかみらないコースに、コーチングやスーパービジョン、メンターコーチングのような個別化されたリフレクィブプラクティスを含めると、88パーセントに増加することがわかっています。何らかの方法を選び、自分がクライアントと私たちのプロフェッションのためにベストを尽くしていることを確認しましょう。

出典)
Broadwell, M.M. (1969) Teaching for learning, The Gospel Guardian, 20 (41): 1–3.

Eckstein, R. (1969) Concerning the teaching and learning of psychoanalysis, Journal of the American Psychoanalytic Association, 17 (2): 312–332.

Hawkins, P. and Smith, N. (2013) Coaching, Mentoring and Organisational Consultancy, Supervision and Development, 2nd edition, Maidenhead: Open University Press.

Norman, C.E. (2020) Mentor Coaching: A Practical Guide, Maidenhead: Open University Press.

Olivero, G., Bane, D. and Kopelman, R. (1997) Executive coaching as a transfer of training tool: Effects on productivity in a public agency, Public Personnel Management, 26 (4): 461–469.

著者:クレア・ノーマン

19年のコーチ経験を持つ。PCC。スーパーバイザー、メンターコーチ、インターナル&エターナルコーチ。アクセンチュアでリーダーディベロップメントを率いていた。画期的な行動変革プログラムで賞を受賞している。ブログを多数書いているほか、コーチングやアクションラーニング、スーパービジョン、メンターコーチングに関する記事、本(Mentor Coaching: A Practical Guide, Being a Sunbeam and Seeing Beyond the Blind Spots.)などを執筆している。

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Originally written in English by Clare Norman
Coaching World, May 11 2020, Mentor Coaching is for Life, Not Just Credentialing


https://coachfederation.org/blog/mentor-coaching-is-for-life

翻訳:栂村雅美

Disclaimer: This article was approved by ICF for translation and was translated by a Japanese translator hired by ICF Japan Chapter. The original article of this translation was written in English for ICF Coaching World. Please note that ICF and ICF Japan Chapter do not take any responsibility for any potential errors or mistakes in the translation. For clarity of the content, please refer to the original version on the ICF website at https://coachingfederation.org/blog

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