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ストレスを軽減するために

ストレスに関する統計は驚異的です。2017年のアメリカ心理学会(APA)によると、ほぼ 10人に8人がストレスによって引き起こされる物理的な症状を定期的に経験し、半数近くがストレスのせいで眠れない夜を過ごしていると言います。また、ストレス由来のヘルスケアと欠勤による米国の雇用者の損失は、約3000億ドルにも及ぶとされています。

コーチとして、私たちはクライアントの人生の重要な局面に立ち会います。クライアントは、新たな成功と満足と強いストレスの間を通る細い道を歩いていたり、ストレスを管理するための新しい実践的な方法を学ぶためにオープンになっていることでしょう。

そのため、ストレスとは何か、ストレスがどのように作用し、どのように管理できるのかをしっかりと理解し、クライアントとストレスについて会話をしながら関わっていこうとするコーチは、コーチングの効果とインパクトを高める準備ができているといえます。

ストレスのマインドセット・シフト

多くの人は、ストレスについての捉え方は旧来的なものに縛られています。私たちは皆、頭がおかしくなりそうなほど忙しい。高いストレスは避けられないものだ。それをコントロールすることは不可能だ。私たちができる最善の方法は、いくつかのヒントやコツを学び、ゲンのひとつも担いで、あとは対処することだけだ。などなど…。クライアントとの早い段階での会話の中で、こうした認識を示す言葉や、ストレスに関する何の助けにもならない考え方に耳を傾け、より有効な考え方に向かって努力することが重要です。

例えば、ストレスは、注意力を高めたりセルフケアを強化する必要があることを示す、早期警告システムであると捉え直す必要があります。これは、ストレスに対する典型的な反応である、投資するものを倍にし、スピードを上げ、さらに頑張ろうというものから、強力にシフトすることができます。ストレスによる頑張りは年に一度か二度利用するのは良いことですが、それを常態化させてしまうと、大きな災いを引き起こす元になります。

ストレスへの弱さは、人間としての弱さではない

強いストレスがかかる経験に対する脆弱さは、人としての弱さを意味するものではないとクライアントに伝えることは、有効な手段のひとつです。それは私たちが人間であることを意味しています。神経系(特に、感情などを司る厄介な辺縁系の脳)が、環境の変化に応じて、あるべき応答をしているということなのです。これは、クライアントが日々の生活や仕事の中で見失いがちな、歓迎すべき視点です。

1967年に精神科医によって作成された評価ツールであるホームズ・ラーヘ・ライフ・ストレス・インベントリーは、最もストレスの多い人生経験を43例リストアップしています。離婚や別居、結婚、失職、退職などがトップ10に入っています。このことを念頭に置いて、私たちはクライアントにパワフル・クエスチョンでの問いかけを行うことが出来ます。それにより相手は、例えば、現在の結婚生活で直面している困難と、直属の部下との間に感じている焦りとの間の潜在的なつながりについて考えるかもしれません。

私たちは、彼らが自分自身をケアする新しい方法を発見し、柔軟さを育むことができるように、人生の他の部分で何が起こっているかにも光を当て、懸念事項を深く探るよう手助けをすることも出来るでしょう。

気づきが重要

何が私たちをストレスに弱くするのかを知ることは大切ですが、真のレジリエンス(ストレスに対する柔軟性)の構築を目指すにはまだ十分ではありません。レジリエンスをより高めるためには、それが習慣化し、表面化して問題になる前に、早い段階でストレスの兆候に気づくことが必要です。

そのためにクライアントは、将来の心配や過去のトラブルに心が囚われてしまう時、それに気付き、文字に書き出すというシンプルな練習をすることが出来ます。一度この習慣に慣れてしまえば、何かがあった時には一旦手を止め、深呼吸をして、その瞬間に最も重要なことに心を集中させ直すことが容易になります。

私たちは、クライアントが難しい感情や身体的な緊張に注意を払うようになるために、上と同じような練習を創ることも出来ますが、どちらにしても、時間と共にストレスが蓄積されて行かないようにデザインすることが重要です。

スキルを身に着けるために練習を

多くの人にとって、このようなその場を捉えるマインドフルネスのスキルは簡単には得られません。体をリラックスさせるスキル(そう、スキル、つまりこれは技術なのですが)というのは、1日16時間仕事をするよりも難しいと思われています。このような理由から、クライアントには、計画的に時間を確保して練習するように促すことが必要です。

意図的な練習への(時間的な)初期投資は、多忙なクライアントにとっては大変なことのように思えるかもしれませんが、長期的に見れば、それが困難な際に役立ち、ストレスが長期的に悪影響を及ぼすのを防ぐことができるとほとんどの人が理解出来ることでしょう。

蓄積されたストレスを軽減し、将来のストレスを溜め込まないようにするための3つのスキルとは、段階的筋肉弛緩法、腹式呼吸、マインドフルネス瞑想です。

対象がニッチかターゲット市場かに関わらず、すべてのコーチは、高いレベルのストレスを経験しているクライアントに遭遇します。パワフル・クエスチョンと深い傾聴といった通常のスキルを適用することに加えて、ストレスに関する知識を共有し、クライアントのマインドセットに働きかけ、意識改革を行い、(許可を得て!)シンプルな練習を推奨することで、クライアントの人生に深く、ポジティブな影響を与えることが出来るでしょう。

即効性のある3つのストレス解消法

腹式呼吸

平らな場所に横になるか、または、お好みであれば、足をしっかりと地面につけ背筋を伸ばして椅子に座ります。視線を落とすか目を閉じて、意識を自分の内側に向けることから始めましょう。意識をしながら息を鼻から吸い込み、ゆっくりと腹、次に肋骨、そして胸をふくらましていきます。息を吸い切ったところで数秒止め、鼻からゆっくり普通に、息を吐き切ります。これを3~4回繰り返します。

段階的筋肉弛緩法

まずは3~4回腹式呼吸(上記参照)を行います。次の呼吸で息を吸う時、意識して額の筋肉を緊張させ、吐き出す時に解放します。その後の呼吸では、目を、その次は顎を、首、その下と、体全体を上から順に緊張させてからリラックスさせていきます。最後に3~4回腹式呼吸を行って終了です。

マインドフルネス瞑想

3~4回、腹式呼吸を行い、その後、通常の呼吸に戻します。呼吸のサイクルが分かりやすい鼻の先や、腹に自分の意識を傾けます。呼吸サイクルの間、その場所に静かに注意を保つことが出来そうか確認してください。無理をする必要はありません。鼻や腹といった注意点を越えて、過去や未来について考えたり、自分の意識が何かに向いてさ迷いだした時は(それはきっと起こります!)、静かに意識を呼吸に戻し、呼吸のサイクルを再開します。これを5-10分間続けます。

著者:エリック・ラーソン,PCC

エリック・ラーソン(PCC)は、米国ミネアポリス(ミネソタ州)のエモーショナル・ウェルネス・コーチです。大学生、聖職者、組立機械工から非営利団体のリーダー、フォーチュン500のエグゼクティブまで、2,000人以上のクライアントを支援し、ストレスを理解し、ワークライフバランスを改善し、マインドフルネスを育て、各人が自らの人生、家族、地域社会においてより効果的に活動できるようにしてきました。

Originally written in English by Eric Larson
Coaching World, November 13, 2018, How to Stress Less


https://coachfederation.org/blog/how-to-stress-less

翻訳:牧野内正雪

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